花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

花壇は区切らない

花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

この庭は Merriment Gardens 、イギリスの南部ケント州にあるガーデンです。
イギリスの庭の特徴のひとつに、樹木と草花と芝生が一体となっている事を挙げる事ができます。全体が流れるように続いてひとつの景色を作ります。
日本では花壇と言うとレンガや石で区切るもの、と思われています。でも、区切ってしまうと、そこで流れが止まってしまいます。狭い庭ならなおさら、花壇は区切らず庭全体としての景色を考えるべきです。

花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

大きな木の周りを芝生で囲み、芝生を張らない所を花壇にデザインしています。芝生と花壇の境界にはレンガや石を使わず、芝を切り、花壇の土を少し高くしています。花壇と芝の間に少し溝を作り、芝が伸びてきたら切ります。イギリスには広い庭用の立って使う芝のエッジ切りハサミがあります。日本にも芝のエッジ切りハサミがありますが、狭い庭なら普通の庭用のハサミでも大丈夫です。

花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

こんな風に芝生と花壇の境界は、ただハサミで切っておけばいいのです。こうすれば、花壇はわざとらしく仕切られる事なく、自然の緑で流れるような自然の庭を作る事ができます。

花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

これは芝生の中にまっすぐな草花が立ち上がっている景色。草花の縦の形を活かしたダイナミックなデザインです。これも花壇と芝の間に区切りがないから、美しい自然な景色になっているのです。

花壇は区切らない ガーデンデザイナー 麻生恵

日本でデザインした、芝と花壇の区切りのない庭。もともとあった椎の大木を中心に、その周りに草花の花壇を作りました。緑に包まれるようにデザインした駐車場との境界に作ったツゲのトピアリー、その周囲の白い花壇と芝生も異素材で区切っていません。だからこそできた、日本の狭い庭での心安らぐ緑の庭です。

ガーデンデザイナー 麻生 恵