コンセプト ガーデンデザイナー 麻生 恵

コンセプト

庭は時間軸で変化する立体空間芸術です。

ガーデンデザイン、ランドスケープデザイン、とは、光と陰、風の流れ、季節と共に変化する植物、それらを立体として捉える空間デザインです。

イギリスで学んだガーデンデザインでは、ハード(デッキ材、レンガ、コンクリート、スチール、石、など)と、ソフト(植物、光)を同時に考えます。両方を最初から同時に考える事で、デザイン性が高く、しかも、自然で心地よい庭を作る事ができるのです。

都会の庭の敷地は限られていて、それを取り巻く環境は問題山積です。
その問題を解決し、それを魅せ場に変える事ができれば、庭作りは成功です。緑の葉を透かす木洩れ日に抱かれて、心が解放されるデザイン性の高い庭、それが私のデザインコンセプトです。

庭をデザインするには、先ずその土地の精霊の声に耳を傾けなさい、とイギリスの授業で教えられました。土地の精霊の声、それは太陽の動き、風の流れ、水、土、と言った自然科学の声、そして、その土地の置かれている状況の声です。その精霊の声を謙虚に受け止め、そこからデザインをスタートさせなさい、と教えられました。土地の精霊の声に従ってこそ、無理のない心地よい庭ができるのです。
雑誌の綺麗な庭を見て、こうしたい、ああしたい、と思うのは当然の事です。
でも、真似は真似でしかなく、そこから出来上がるのは取ってつけたような不自然な庭です。本当に心地のいい庭は、その土地と建物にあったオリジナルでなければ生まれないのです。

私のデザインする庭は客目線の眺める庭ではなく、家族が日常を過ごす緑に抱かれる庭です。多くの時間を過ごすダイニングルームから見える庭、キッチンに立った時の目線で見える緑、ゆっくりと過ごすリビングルームから見える庭、です。家族のための庭です。気がつくと夫が庭で新聞を読んでいたり、妻が緑の光の中で本を読んでいたり、子供が宿題をやっていたりする庭です。家族が楽しく食事をする庭であり、友達を呼ぶ庭であり、いつかそれが家族の思い出として残る庭です。

都会の限られた空間の庭をデザインする時、先ず最初に私が考えるのは頭上からの光です。庭のデザインで一番大事なのは、緑の葉を通す光を考える事です。常緑樹の葉は肉厚で光の透過率はとても低いです。それに比べ落葉樹の葉は薄く光の透過率が高く、その薄い葉を光が透かして生まれる木漏れ日、それほど美しいものはないと思います。早春の芽吹きの頃の薄い葉に光が降り注ぎ、葉脈さえも透かして見える時、この一瞬こそがデザインの求めるもの、と感じます。勿論、限られた敷地の都会の庭に、頭上からの光を作る大きく枝を伸ばした木を植える事は難しい事です。ですから、私は普通の大きさの木でも、限りなくその下や横に人の座る場所を作り、すぐそばに植物がある景色を作る事で、小さくても緑に包まれる空間をデザインします。その為にはテラスなどの人が座る場所を、どうしたら緑に近づける事ができるか、を考えます。テラスを先に作ってしまい、それから植栽を考えるのでは、緑に抱かれる空間を作る事はできません。ハードとソフトを最初から同時に考える、このイギリスで学んだデザインこそが都会の狭い庭に求められるのです。

ガーデンデザイン、ランドスケープデザイン、で一番大事なのはウィンターガーデン(=骨格)を作る事である、と言う事をイギリスの授業で徹底的に教えられました。花のない季節にも美しい、と言う事が、いい庭として大切な事なのです。ウィンターガーデン(=骨格)がきちんとできていれば、草花が足されたら庭はもっと美しいのです。
誰もが高原の樹木に囲まれた家の、光を通す緑に包まれた室内からの景色に憧れます。その緑に抱かれた時の心の安らぎを感じます。それは、太古の昔、遠い祖先が地上に下りる事なく、木々の緑に包まれて樹上で眠った事の記憶に繋がるように私には思えます。
私はイギリスで学んだガーデンデザインをベースに、日本の気候に合った植物を造形美としての視点で捉え、デザイン性の高い、新しい緑の庭を作ってまいります。

イギリス ガーデンデザイナー 麻生 恵


現状をありのままに描きます。

イギリス ガーデンデザイナー 麻生 恵


太陽の動き、風の流れ、日向、日陰、人の目線などを、自然科学をベースに分析します

イギリス ガーデンデザイナー 麻生 恵


機能で分けます

イギリス ガーデンデザイナー 麻生 恵


ガーデンデザインの骨格ができあがります。