Anthony Paul の庭 No.1 ガーデンデザイナー 麻生恵

Anthony Paul の庭 No.1

Anthony Paul の庭 No.1 ガーデンデザイナー 麻生恵

これは私がイギリスで一番好きな庭です。
世界で活躍するContemporary Landscape Designer, Anthony Paul, 私の尊敬する先生の自宅の庭です。
ロンドンの南に隣接したサリー州にこの庭はあります。
もともと水脈の流れる12,000坪の土地を購入したのは1977年。
年月をかけて作り上げた、光と影を計算した、植物を造形美と言う切り口でデザインした、緑のガーデンです。
この、緑に抱かれ、水の音と鳥の声が静寂の中に響く、築500年の家が、Anthony Paul と妻 Hannah Pescharの住居です。

イギリスでは古い家は、グレードリストに載り、例えそれが自宅であっても増築はおろかリフォームも制限されます。
この築500年の家も例外ではなく、二人の住居は仕事をするには狭すぎて、増築をしようとしましたが許可されませんでした。
そこで、この築500年の家を住居とし、12,000坪の敷地に Anthony Paul のアトリエ、妻 Hannah Peschar のオフィス、来客用のゲストハウスを点在して建てていきました。結果 12,000 坪の敷地の中に小さな4軒の建物が緑に抱かれるように点在する事になったのです。

Anthony Paul の庭 No.1 ガーデンデザイナー 麻生恵

これは Anthony Paul のデザインスタジオ。
彼の出身地はニュージーランドで、彼の植物に対する知識は特別です。
彼のデザインする庭はダイナミックでシンプル。
シンプルだからこそ、植物の造形美と質感が浮かび上がります。

Anthony Paul の庭 No.1 ガーデンデザイナー 麻生恵

これは妻 Hannah Peschar のオフィス。
彼女の出身地はオランダ。彼女は庭と言うアウトドアギャラリーで石、木材、ガラス、などの立体アートを扱う仕事をしています。
才能あるアーティストを見つけ出して、その作品を庭に置いて、世に出す仕事をしてしています。
Anthony Paul の光と影のダイナミックな緑のガーデンに点在する立体アート作品。私はこの包み込むような緑の中に佇む立体アートの創り出す風景を、心から美しいと思います。

Anthony Paul の庭 No.1 ガーデンデザイナー 麻生恵

これは Anthonyと Hannahがサマーハウスと呼ぶゲストハウス。
元々は納屋だったようですが、それをゲストハウスに作り変えました。
中はワンルームですが、素敵なキッチンがあり、食事をするテーブルと椅子があり、二人が寝られるベッドがあり、バスルームがあります。
私もイギリスに行く度に彼らの庭を訪ね、このサマーハウスに泊まらせて頂きます。
いつもサマーハウスの中にある冷蔵庫をおいしそうな食料品でいっぱいにしておいてくれます。
初めてここに泊めていただいた時、このサマーハウスに着いて中に入って、ベッドの上に1枚の紙が置かれているのを見つけました。
こう書かれていました。

冷蔵庫の中にサプライズを入れておきました。
私達は忙しいので夕食の時にしか会えないけれど、
ここにいる間は、ゆっくり庭と時間を楽しんで。
             Hannah + Anthony

ガーデンデザイナー 麻生 恵