麻生恵 ガーデンデザイナー

日本で作るピラカンサ

イギリスで見たピラカンサ、その日本と全く異なる剪定方法は、日本に戻って都会における問題解決の手段として活かされました。

麻生恵 ガーデンデザイナー

このお宅の南側は前のお宅の北側、古くからの色々な資材や物置がリビングルームからまる見えです。しかし、この古い境界壁面はお向かいのお宅のもの、こちら側から手を加える事はできません。こう言う悩みを抱えている都会のお宅は多いものです。工場生産品で塀を作るのは簡単ですが、それでは光を通し季節と共に変化する庭にはなりません。私は緑の背景に拘ります。余りお金をかけずに手軽な方法で、と言う事で、一般的な支柱に建築材料のワイヤーメッシュを取り付けてピラカンサを誘引しました。遊び感覚で作ったので、ホームセンターで購入した安いワイヤーメッシュに塗装をして使いました。

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後ろの壁がすっかり見えなくなった訳ではありませんが、それでも初夏に溢れるように小さな白い花で覆われ、冬に真っ赤な実のなる緑のスクリーンは、魅力的な風景となりました。

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やはりこちら側からは手を加える事のできない隣家の壁面に作ったピラカンサのスクリーンです。あと2年もすれば、ピラカンサの背景ができあがり、隣家の問題を隠してくれます。それどころか、問題があった事さえ忘れて、魅せ場になる筈です。
ここでは、ハードウッドの支柱を立て、塗装したワイヤーメッシュを取り付けています。ワイヤーメッシュはステンレス製を買えば、塗装する必要もなく、耐久性も美しさも抜群ですが、値段がはります。このお宅ではご本人自ら、何日もかけてポールマッカートニーの音楽を聴きながらホームセンターで購入したワイヤーメッシュを塗装しました。ご本人曰く、安く上がったけれど、あんな大変な作業は2度とゴメン、だそうです。

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隣家の室外機2台も気にならなくなりました。

日本でピラカンサを長く誘引して、冬に沢山実をならすのは、簡単な作業ではありません。しかし、てまひまかけて作っていくその過程を楽しむ事にこそ、庭仕事の面白さがあります。

ガーデンデザイナー 麻生 恵