麻生恵 ガーデンデザイナー

「春だけの庭」を作り変える

とても庭仕事が好きで、長い事色々試してきたのに、どうしても納得のいく庭にならない、と言う方に出会いました。今までどれほどのお金を庭につぎ込んだ事か、とその方は言うのです。

麻生恵 ガーデンデザイナー

これがその方の庭。
どんなお庭ですか、との私の問いに見せて下さった庭の写真です。ガーデン雑誌に出てくるような美しい庭。でも、こんなに色々詰めて植えたら3年後にはグチャグチャになります。そして何故、切り取ったような一部しか写真に撮れないのでしょう。そもそも、春以外の庭はどうなっているのでしょう。一番大事な骨格=冬の庭はどうなっているのでしょう。

麻生恵 ガーデンデザイナー

その方の庭の冬の写真を撮ったら、こんなでした。
これで、この庭の問題が明らかになりました。庭で一番大事なのは冬の庭(骨格)。
冬の庭をきちんとデザインし、秋の庭、夏の庭、そして春の庭、を考えます。
まず、こちらからは釘の打てないお隣の所有物の境界壁を緑の背景にする事から考えました。

麻生恵 ガーデンデザイナー

作り始めてそろそろ3年、背景の緑のスクリーンができ上がりつつあります。
背景はピラカンサ。生垣のように沢山の木で緑の背景を作ると、5年もすると花壇は生垣樹木の根だらけになってしまいます。背景の緑を作る植物の数をなるべく少なく、その分、時間をかけて作ります。
背景の緑のスクリーンのピラカンサは常緑。
等間隔で配したツゲの円錐形トピアリーも常緑。
白やシルバーの葉の多年草も常緑。
春から秋は白や青の背の高い多年草の花や、鉄砲ユリなどの球根が季節ごとに変化します。

できあがるまでに時間はかかります。しかし、以前のように植えたり抜いたりの手間は要らなくなり、これまでのように花苗にお金がかかる事もなくなりました。何より、庭と暮らす、その時間を楽しめるようになりました。

ガーデンデザイナー 麻生 恵