木は思いのほか自由

木は思いのほか自由

木は思いのほか自由

これはThe Lost Gardens of Heligan (Cornwall)で見た美しい緑のトンネルです。緑の葉を透かす光の中を歩くと言うのは、とても気持ちのいいものです。
なんて美しい、と思って近づいた時、本当に驚きました。ずっと続く緑のトンネルに赤く色づき始めたリンゴが沢山なっていたのです。よく見るとアーチそのものにもリンゴの果実が鈴なり。

ずっと道なりに続く低い緑にもリンゴの果実。

木は思いのほか自由

色の少なくなった秋の庭に、真っ赤なリンゴが緑の葉とのコントラストも美しく、庭を美しく彩る。真っ赤なリンゴのアーチの下を歩く庭。なんて自由な発想。

イギリスではリンゴの木を使った色々なデザインを目にします。それはリンゴが特別にその手法に向く訳ではなく、リンゴは誰の家にでもある一番普通の木だからです。私達の住んでいたSurrey の家の庭にもリンゴの木が4本ありました。

ごく普通の木だから色々な形にデザインしてきたのでしょう。それならば、日本の関東地方に住む私にとってごく普通の果樹、温州ミカンをデザインできたら面白い。そう思って、両親の植えた変な形の温州ミカンの木を、植木屋さんに頼んで、剪定で扇形に薄く広げていってもらいました。5年の歳月が経過し、1本の温州ミカンが窓いっぱいに広がる景色ができあがりました。窓枠をフレームにした、四季折々変化する自然のピクチャーです。

木は思いのほか自由

ガーデンデザイナー 麻生 恵